書物・出版の成立史とともにあった聖書の変遷は、本の本質についての様々な側面を余すところなく見せてくれる。それは本の脱構築と脱神秘化という今日的課題への回答を考えるわれわれにとって、他では得難いものだ。田川聖書論についての論考の完結編は、翻刻の問題を扱い、版面に対する創造的アプローチの重要性を説いている。「原文に忠実」、「譜面に忠実」というのは聞こえはいいが、じっさいにはフィクションであり、それを墨守すると思考停止に陥る。(編集子解題) ... [続きを読む]
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