電子書籍の市場では熱に浮かされたような騒ぎが続いているが、小説のような一般書籍に関して言えば、デジタル化は格別、問題視するようなことではない。作り手にとって本を作り出すプロセスに基本的違いはないし、読み手の側から見ても、本の内容を読み取るために気持ちを集中させる“没頭型読書”のスタイルは、何ら変える必要がないからだ。しかしながら、絵本出版社の立場に立つと、従来の手法や常識が全く通用しない現状が待ち受けている。[ロビン・バートル=寄稿] ... [続きを読む]
iPad
女性雑誌はiPadよりNOOK Color
B&NのNOOK Colorがとくに女性の雑誌読者に愛用されていることが注目されている。NY Timesの5月22日の記事は、iPadと比べてNookがなぜ女性に支持されたかを検討しているが、要は読む以外の機能をほとんど削ったシンプルな環境が、「文字と写真だけで何が悪いの?」という女性の(保守的/堅実な)ニーズにマッチしたということのようだ。これまでファッション雑誌にまで膨大な金を投じてダイナミックなアプリを開発してきた出版社には冷水を浴びせたことになるのかも知れない。ともかくNookは成功し、PDFを切り取っただけの雑誌も好評だという。 ... [続きを読む]
ハンズフリーなiPadスタンドHanfree
タブレットをどういう姿勢で使うか、基本があるわけではない(必要もないのかもしれないが)。ただ、膝の上は不安定で、デスクの上は退屈、ベッドの上は怖い。iPad 2は軽量だが初代に比べて頑丈ではない。答は「専用スタンド」だろう。しかし、クールなスタンドを考えるとなると簡単ではない。Hanfreeは、見たところすばらしい(ビデオ)。これはKickstarterという資金公募プラットフォームを使ったデザイン・プロジェクトで、50ドル以上を出資すれば小売価格($79.95)より安く入手できる(海外送料$40)。200ドル以上なら、ウッドベースに榛の木製を使ったサイン入り特注品も。申込締切は米国東部時間で5月11日午後3時43分(日本時間12日午前4時43分)。 ... [続きを読む]
アップルのIAP規制がePUB3への移行を加速する!?
「風が吹けば…」的な屁理屈に聞こえるかもしれないが、アップルのIAP規制は、結果的にePUB3への移行を促進するだろう。本の中からインターネット上のコンテンツやサービスへのアクセスを容易にするHTML5/ePUB3は、OS=アプリに依存しないコンテンツの自立=サービス化を広げることになるからだ。逆に言えば、コンテンツがePUB3でフォーマットされることで、ロックインを怖れずに、iPadを安心して使うことが出来る。誰も損をせずに済む解決だ。 ... [続きを読む]
「iPad元年」のビッグバン
ガートナー社は11月4日、「ガートナーからCEOへ、iPadのチャンスを掴むのは今」と題したプレスリリースを発表し、iPadが(かつてiPhoneがスマートフォンあるいは携帯電話を再定義したように)ニッチなどではなく、まったく新しい“メディア”を生み出したが故に、すべての企業経営者はそれに対応しなければ大きな機会を失い、競争上不利に陥ると警告を発した。ITビジネスにおける同社の予測の的中率はよくて半分くらいだと思うが、これには同意せざるを得ない。 ... [続きを読む]
E-Bookにおけるデザインと画面の関係 (♥)
スティーブ・ジョブズ氏が、最近“7インチiPad”の可能性を否定した際に述べた言葉は、 E-Bookあるいはタブレット・アプリのデザインにとって非常に重い意味を持つことになるだろう。人間工学は移り気な市場に優先する。モバイル性に難がある10インチは、それでも人間工学的に必然性のあるサイズなのだ。iPhoneの画面のように、iPadの画面サイズもほぼ固定した。これでデザインはこの2+n次元空間をひとつの規格サイズとすることになる。[EB2 Magazine No.5より=要登録] ... [続きを読む]
Kindle Storeにみる価格/販売動向
ブログKindle Nation Dailyのスティーブン・ウィンドウォーカー (Stephen Windwalker)編集長は7月19日の記事で、 Kindle Storeの価格分析などをもとに、大手出版社が求めた「エージェンシーモデル」は早晩崩壊すると述べた。アマゾンはトップシェアを維持しつつ、業界平均 をはるかにしのぐ勢いでE-Bookを販売しており、そこでのトレンドは現在のE-Book市場の傾向を映すと思われる。(近日刊行予定の新しい週刊WebニューズレターEB Magazineテスト版のための記事。) ... [続きを読む]
シリーズ「LAトーク」(2):パンドラの箱は開いた
鎌田からの昨日の発信に対して、立入さん(写真)から早くも長文の返信をいただいた。昨年と比べると、E-Bookをめぐる日本の状況は一変し、iPadについては、大手出版社の間にも「ブームに乗り遅れまい」という姿勢も見られる。ただ、アップル、アマゾンの二強が提供するプラットフォームには、いずれも囲い込みの柵が設けられている。立入さんは、電子出版者としての自身の経験を通して、それが出版社にとってどんな問題であるのかを語り、日本としての対応の必要性を提起している。 ... [続きを読む]
シリーズ「LAトーク」(1):iPadの読み方
米国LAでE-Bookに取組んでいる立入勝義さん(LMDPおよびeBook 2.0を主宰)と新しい「対論」シリーズを始めることにした。立入さんは在米歴12年の起業家でE-Bookに強い関心を持ち、ユニークなビジネスモデルを構想しているほか、初の著書も執筆中。このサイトの最も早い読者でもあり、自身のブログやSNSで米国発の情報を発信している。このシリーズでは、日本から見たアメリカ、アメリカから見た日本、という複眼的な考察が期待される(立入さんのプロフィール)。 ... [続きを読む]
空前のiPadビジネスモデルは成功するか?
メディア業界はアマゾンを嫌ってアップルに走ったが、そこには巧妙な罠が仕掛けられていた。アプリを支配しアプリをめぐるインタラクションを支配するという意思を、アップルはもはや隠そうとしていない。たしかにそれだけの魅力があるプラットフォームでありインタフェースだ。信者も無数にいる。しかし、オープンなWebの世界と隔絶した帝国を築くなどということが、21世紀に可能であるとは思えない。しかし、どうあろうとこの最後の(?)挑戦は、あらゆる業界に大きな影響を与えることになるだろう。 ... [続きを読む]